イタリア映画祭2012
ふーーーーー終わった〜!今年も全部観てきました。
一回だけ、大きな地震が来て上映が一時中断されました。上の照明がかなり揺れてて怖かった〜。でもその一回だけでした。
さて、今年の映画祭、あくまでも私の個人的な感想ですが、いい映画が少なかった気が…。うーん、いい映画っていうと語弊があるかな。。。とにかく好きな映画にほとんど出会えませんでした。悲しい。
ちょっと今バタバタしてて自分の心に余裕がないのがイケナイのか、よくわかりませんが、グッとくる映画が本当に少なかったです(あくまでも個人のブログなので好き勝手に書かせてください 笑)。
では、一言ずつ個人的な感想を。
■楽園の中へ"Into paradiso"
いきなりですが、私は今回の映画祭の中ではこれが一番好きでした。女性の監督の作品です。ナポリのスリランカ移民街の話。と言ってもコメディーです。視点も面白いし、映像も面白いし、コメディーと言ってもちゃんと芯があるし、ちょっとドキュメンタリーなところもあったり、スリランカって全然知らない国だったのですが、映画を通してちょっと知ることができたのも良かった。監督は4ヶ月(だったかな?)ナポリのスリランカ移民街で過ごしていろいろ取材したそうです。そういう裏付けがある映画ってやっぱり違うなーと思う。たとえば、ランタンが空にのぼっていくシーンがあるんだけど、それはスリランカの津波の時にそういう儀式をしていたのを監督が覚えていて、スリランカの人達に聞いてみたそうです。空に飛ばすランタンは犠牲者を天に導く意味があるのだとか。映画の中ではそういう意味で使われているわけではないけど(でもそれをふまえて意識的に使われている)、印象に残るシーンでした。女性の監督はイタリアでは7%しかいないそうですが、いい映画を作る人が多い気がします。これからもがんばってほしい!監督にサインも頂いたのですが、その時にチャオって日本語でどう書くの?って聞かれ、私は自分のカタログに自分でチャオって書くハメになりました 笑
■気楽な人生"La vita facile"
去年上映された「星の子どもたち」の監督の作品。去年の作品の方が好きだったかな〜。映像とか音楽は良かったです。楽しい映画です。
■ジャンニと彼をめぐる女たち"Gianni e le donne"
テイストが前作と全く一緒。前作は「8月のランチ"Pranzo di ferragosto"」。前作はものすごく好きでした。それだけに、次も同じテイストだったのが残念すぎる。。映像も雰囲気もすごく好きです。でもやっぱり前作と似通っていて、ほんともったいない。。監督=脚本=主演、っていう、全部自分でやってしまうところが広がりがなくなってしまう所以なのかな、とも思ってしまう。。映画ってやっぱりいろんな人が関わった方が面白くなるような気がするんだけど、どうなんだろう。。でも、いい映画です。前作に似ているっていうのを差し引けば、かなり好きな映画です。
■至宝"Il gioiellino"
面白かった。楽しい映画ではないけど、見応えのある作品でした。実際の事件に着想を得て作られた映画だそうです。家族経営の企業のお話。しかし、映画の本筋とは全く関係ありませんが、トニ・セルヴィッロは女性と絡まない方がいい気がする。しかも誠実な絡み方ならいいのだけど、火遊び的な絡み方は似あわない気が。。でも、演技はいつも通りすごい迫力でした!
■天空のからだ"Corpo celeste"
思春期の少女のお話。教会でのシーンで、変な大人がいっぱい出てくるんだけど、これってほんとにこういうことありそうだなーって思った。教会と言えども人間の集まりだからね。。宗教っていう大きなものに隠されて、その変なところが見えなくなってる部分は絶対あると思う。
■七つの慈しみ"Sette opere di misercordia"
双子の監督の作品。映画自体はかなり重苦しい空気が漂ってる。のだけど、すごく意味のある、よく考えられた作品で、来日していた監督の質疑応答を聞いていても、映画作りに真剣に取り組んでいるのがわかる。意味がわかった今、もう一度見てみたい気もするけど、これは字幕と前知識がないとちょっと難しいかも。聖書のマタイによる福音書にある、七つの(肉体的な)慈悲の行為についての映画なのだけど、セリフは少なく、映像や演技や構成で表現している。ナポリの教会にこの映画と同じ名前のカラヴァッジョの絵があって、影響を受けたのだそうです。双子の監督は、二人とも来日していて、サインも頂いたのですが、その時に監督のサイトのアドレスをカタログに書いてくれました。
De Serio
そういえば、質疑応答で、この映画はデジタルですか?フィルムですか?と聞いた人がいて、監督は「フィルムです。でもフジではなくてコダックです。スコント(値引き)してくれたから」と言っていたのが面白かったです 笑
■錆び"Ruggine"
子供から見た世界を描いている映画なんだけど、本当に子供になった気分ですごく怖かった。。心臓バクバクしてた。。うん、怖いです。この映画。。ちょっとステファノ・アッコルシだけが浮いていた気がするけど。。彼の演技が悪いってわけじゃなくて、キャスティングを変えた方がいいような気が。。あんな神経質そうな子供の大人役がステファノっていうのがなんか違うなぁ〜と、そこだけ違和感。
■大陸"Terraferma"
今回ものすごく多い、難民の話。それが主なテーマじゃなくても、いろんな映画にちょこちょこ出てくる。この映画はそのものズバリの話。シチリアの離島での話。漁業と観光業で生きる島の人達にとって、難民が流れ着くことは、生活を脅かすことにも繋がる。そんな現実を知ることができた映画。
■シャッラ/いいから!"Scialla!"
Scialla!とは、ローマの高校生言葉で、"stai sereno!(落ち着いて!)"という意味。脚本家の初監督作品。軽く見れる楽しい映画。
■バッグにはクリプトナイト"La kryptonite nella borsa"
こちらも「あしたのパスタはアルデンテ("Mine vaganti")」などを書いた脚本家の初監督作品。70年代のイタリアが舞台なので、その当時のイタリアの雰囲気が味わえるのが楽しい。衣装も、その当時のものを集めてきてもらったのだとか。前半は良かった。楽しめる映画です。
■何もかも音楽のせい"Tutta colpa della musica"
中年?熟年?の恋愛映画。一応たぶんコメディ?
■ジョルダーニ家の人々"Le cose che restano"
6時間39分の長編映画!…と言いたいところだけど、これは4回のテレビドラマをくっつけただけ。今回はそれを前半(1回目・2回目)と後半(3回目・4回目)に分けての上映だったのですが、本当にくっつけただけなので、1回目が終わったらエンドロールまで流れるのですよ。。これには興ざめ。映画として公開するならそこはなんとかしてほしかったなぁ。。おかげで、途中なのに退席する人が多数(私も)。なんだかなぁ。。と思う。そして、「輝ける青春"La meglio gioventù"」のスタッフが作った、ということなんだけど、今回の作品は本当に家族の描写だけ。前作はイタリアの歴史なんかも知れてとても興味深かったけど、今回のは…残念。
■ローマ法王の休日"Habemus Papam"
もともとこの監督の作品が好きじゃないのですが、やっぱりあんまり好きじゃないです(それなら見に行かなきゃいいじゃん、と言われそうですが、観てもいないのに好きも嫌いも言えないので、一応観てみたい)。
■シュン・リーと詩人"Io sono Li"
これはすごくいい映画でした。映像も美しかった。役者さんもすごくいい。映画の中で主人公が話す中国語の響きがまた綺麗で。中国語を綺麗、と思ったのははじめて。映画の中を流れる空気感も、ヴェネツィア(正しくはキオッジャ)の景色も、ほんとに良かったです。そして今さらながらカタログを読んだら、この監督、ドキュメンタリーを手がけている方だったのですね。やっぱり私はフィクションとノンフィクションの間にあるような映画が好きなのかもしれないなぁ。
…以上14作品の感想でした。
今年のベスト5
■楽園の中へ"Into paradiso"
■ジャンニと彼をめぐる女たち"Gianni e le donne"
■至宝"Il gioiellino"
■七つの慈しみ"Sette opere di misercordia"
■シュン・リーと詩人"Io sono Li"
というわけで映画祭、今年も終わってしまいました。また来年☆!
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コメント
私は2作品だけ見たよ~。
「錆び」と「天空のからだ」を見たけど…私的にはイマイチだったっかな?
地震って「錆び」の時じゃない??私も同じ会場にいたよ!!質疑応答の時の質問が辛辣すぎてドキドキしちゃった(@Д@;
投稿: kumiko | 2012-05-07 23:39
おお〜今年は2作品だけだったんだ〜
そうそう、地震は「錆び」のときだったよ!くみこちゃんいたのーー!?全然気づかなかったよ〜!ちなみにあの地震の時、監督は岡本太郎さんと外をぶらぶらしてて地震自体に気づいてなかったんだって 笑
うん、質問ひどすぎたよね〜。監督が日本語わからなくて良かったと思ったよ。。なんていうか、、感じ方はそれぞれだから思ったことを言うのは構わないと思うけど、言葉のニュアンスがひどかった。あの人達は日本人相手でもああいう言い方をするのかなぁ。。まぁ、毎年いるよね、ああいう人。今年は少ない方だと思うよ。。
そういえば書くの忘れたけど、今年の質疑応答の時の通訳さん、けっこう大変な質疑応答がたくさんあったけど終始笑顔でこなしててすごかった〜!
今年はパッとする映画が少なかったな〜来年に期待だね^^!
投稿: mio→kumikoちゃん | 2012-05-08 00:50