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2011年5月

2011-05-03

イタリア映画祭2011

いろいろありましたが…今年も行ってきました!

今年は震災の影響で来日ゲストはゼロ。かなりショックでしたが(人数は少なくなるとしても、何人かは来てくれるかなぁ、と思っていたので)この状況、仕方がないです。でも、ちょっと納得がいかないのは、主催者側から何の説明も謝罪もなかったこと。ゲストが来なかったことについて、開会式とかで一言でいいから欲しかった。。それを毎年楽しみにしている人達がいて(私を含めて)、そのために前の座席を買っている人だっているわけだし…きっと直前までいろいろごたごたしてたのでしょうけど。。映画だけなら、DVDを買ったり借りたりすれば観れるものもあるわけで、映画祭では、監督さんや俳優さんから、作品の解釈や、制作時のエピソードなどが聞ける、というのが醍醐味であって、そういうのも含めてチケットを買っていると思うのですが…。映画祭開始前日に突如決まったチャリティー上映も疑問が残りますしね。

とにもかくにも、映画祭が始まってみれば、予想以上にたくさんの人が来ていました。もっと少なくなるかなーと思っていたのですが。。でも上映中にも余震が何回か来ていました。これは来日ゲストが来ていたらパニックになっていたかも?大きな揺れではないのですけど、慣れていない人にとっては怖いですよね。。私もちょっと怖かったですし。。地震が来るたびに、みんな小さい声で「地震だ…」って言いながらも映画を見続けていました。面白い映画の最中だと、揺れながらもみんな笑っていました。ほんと、慣れって怖いですね^^;

さてさて、肝心の映画ですが、いい作品が多かったです。重すぎる映画もなく(この時期に、重い映画は精神的に辛い…)、割とライトな感じの作品が多かったかな?12作品(チャリティー上映を除く全作品)観るのもあっという間に感じました。では、一つずつ、私の全くの個人的な感想を書いていこうかと思います^^☆今年は監督さんから直接作品についてのお話が聞けなかったので、自分が思ったことだけになりますが^^;

■はじめての大切なもの"La prima cosa bella"
いきなりですが、今年一番良かったのがこの映画。切り口は普通なんだけど、映画の作り方とか細かい描写がすごくいい。現在と過去を交錯させて見せていて、でも複雑になっていない。主人公は誰なんだろう。。笑 マスタンドレアが演じている息子かな。一応、そうだと思う 笑。でも、それがわからなくなるくらい、それぞれの人生や、思考を細かく描写している気がする。というより、主人公そのものが、周りの激動のような人生に圧倒されている感じもある。そういう目線なのかな。映画を見ている方は、みんなそういう目線かも 笑。だからこの映画を見終わった後、主人公と同じように、いろんな人生があって、人生っていいな、と思えるのかも。あとは、キャスティングがハマりすぎててすごい。それぞれの俳優さんのいいところがすごく出ているように感じました。ステファニア・サンドレッリ、いつもなんだか同じような役が多くて、演技も一緒でっていうイメージがあったのですが(イタリアの映画ってちょっとそういうところがある気がする。もったいないなーといつも思います)、今回はすごく良かった。とにかく、なんだか上手く書けないんだけど、この映画、すごく良いです。全く無気力な感じだった主人公を「なんか好きなの」って一緒にいる婚約者。主人公の心の葛藤とか、やさしさとか、言葉は少ないんだけど伝わってくる。それがわかって一緒にいるんだなーと思う。そういう感覚って、日本人的だなぁと思ったりもする。あーうまく書けない 笑 とにかくいい映画です!

■もう一度キスを"Baciami ancora"
"L'ultimo bacio"の続編。わかりやすいです。続編だから、観とかないと!っていう映画。普通に楽しめます(というほど楽しい映画でもないけど 笑)。私はどっちかというと前の作品の方が好きです。

■ぼくたちの生活"La nostra vita"
大好きな俳優さん、エリオ・ジェルマーノが主演。深刻な場面もたくさんあるのに、深刻になりすぎない描写。誰か身近な人が亡くなると、行動が突拍子もなくなる、っていう場面がイタリア映画って多い気がするけど、実際イタリア人ってそうなるんだろうか。。映画だから?それはともかく、行動や展開がものすごくイタリア的。イタリアの問題点や、良い面、いろんなことが描かれている気がする。家族や人との絆がそんな中で浮かび上がってくる。最後の何分かで、一気に心が温まる映画。ジェルマーノ、やっぱりbravo!

■ラ・パッショーネ"La passione"
面白かったー!それに面白いだけじゃなくて、意外に深い。この映画、けっこう好きです。もう、なんだかわけわからない展開なんだけど、リアリティーを追求する映画じゃないので、あれくらいやってくれた方が面白い。もう「ネコが鳴く前…」のところでめちゃめちゃ笑いました。あれはヤバイ。実はこの映画を観る前に、映画の予告編をYoutubeで観ていたのですが、その場面が出ていて、みんな爆笑していたんだけど、何が面白いのかわからなかったんです(もちろん、正しくは鶏が、なのは知ってます)が、その前フリがあったのね 笑。この映画のサンドレッリもいい(ちょい役なんだけど)。今まであんまり好きな女優さんじゃなかったのに、今回はほんと良かった。いろんな幅を持ってる役者さんなんだなーと思いました。キャスティングも最高でした。イタリア語も聴き取りやすいし、これはオススメです☆

■われわれは信じていた"Noi credevamo"
イタリア統一のお話。映画とは関係ありませんが、今年でイタリア統一150周年なんですね。イタリアってまだまだ若い国なんですね。映画の前に流れていた150周年のCM?が良かった。…って映画の話をしないと^^;うーん…。勉強不足すぎてよく理解できなかったです 涙。観た後に、なんだか虚しさが残りました。。祖国の為に闘っていた若者達がどんどん殺されていってしまって。。そういう歴史を経て、今、イタリアがあるんですね。全然内容に踏み込めていない感想ですみません。。;__;歴史ものと政治ものは、前知識がないとやっぱり難しいですね。

■キスを叶えて"I baci mai dati"
良かったです。みんながみんな好き!と思える映画かどうかはわからないけど、私は好きです。ちょっと独特かも。なんとなくいろんなことが伝わってくる気がする。希望を持つこと、信じること、誤解、妬み、夢、母親と娘…。海で女の子が見た夢のシーンがなんだか好き。

■初任地にて"Il primo incarico"
これまた、好き嫌いが別れるかなーと思うけど、私は好き。映像がきれいだし、内容も。イタリア映画って、騒ぎ立てるシーンが多いけど、この映画はあんまり大騒ぎするシーンがない。その抑えた感じの中で伝わってくるものがたくさんある。その展開って何!?っていうところも淡々と進む。映画の結末もすごく好き。余韻が残るいい映画。

■星の子供たち"Figli delle stelle"
面白かった。音楽が素晴らしい。この映画と同名の曲が主題歌?なんだけど、これがまたいい。キャスティングもいい(マリオ役の人はあんまり好きじゃないけど 笑)。完全なアクションでもないし、完全なサスペンスでもないし、完全なコメディーでもないし(一番これが近いのかな?)、ヒューマンドラマでもないし、ラブロマンスでもないし…どういうジャンルの映画かよく分からないんだけど、いい。等身大の人間が非日常な状況で描かれている感じかなぁ。

■穏やかな暮らし"Una vita tranquilla"
トニ・セルヴィッロはやっぱりすごい俳優さん。いるだけで、圧倒的な存在感。重くてわりと静かな映画なんだけど、引き込まれて観てしまいました。その日3時間しか寝てなかったけど、寝なかった 笑。淡々としているのに、どういう展開になるのかが読めなくて、目を離せなかったです。結局かなりの謎が残ったままだったんだけど(わからなかったのは私だけ??)、そういう状況の中での物語の展開にドキドキしました。

■ロバの美"La bellezza del somaro"
うん、やっぱり 笑。という感じ。よくわからない展開の映画ってたくさんあるんだけど、それでも好き嫌いがあると思います。私はこの映画はダメでした^^;少女の恋人役のおじいさんがキモだと思うんだけど、イマイチ魅力がなさすぎて説得力がない。そして無理がありすぎる。ラウラ・モランテもいつも同じような演技だし…(同じような役だから仕方ないけど)。カステッリットの大声の演技も好きじゃない。。ただ奇をてらっているだけの映画に感じてしまいました。まぁ、これは好き嫌いの問題なので。唯一気に入ったのは、いつも英語の練習してるおじさん 笑。

■アルデンテな男たち"Mine vaganti"
オズペテク監督の作品。タイトルの"mine vaganti"は浮遊機雷。映画を観れば、この意味は分かると思います。…で、なんで邦題がこうなるんだ。。いつも思うけど、変なタイトルつけないで欲しい。あきらかに映画の主旨と違うと思うんだけどなぁ。。主演のリッカルド・スカマルチョ、あんまり演技好きじゃなかったけど、この映画は良かった。男の人とめっちゃキスしてました。うん、そういう映画だからね。でも、映画の中で俳優さんが、あそこまでちゃんとキスしてるのって、はじめて見たかも??なんとなくお茶を濁した感じの表現が多いんだけど、いつもは。そんなところに衝撃を受けてる私 笑。もちろんそんなことだけじゃなくて、ほんといい演技でした。肩の力が抜けてて、すごく自然だった。内容も本当に深くて、心に残るセリフがたくさんありました。映像も色合いも素敵すぎる。おばあちゃんの人生、存在、考え方がこの映画が伝えたいことだと思います。とにかくいい映画、是非観てみてください。劇場公開も「あしたのパスタはアルデンテ」という邦題で予定されているみたいです。…なんだその邦題!最初のよりはいいか 笑

■最後のキス"L'ultimo bacio"
きっと字幕なしで30回以上は観た映画なんですが、字幕が読みたくて観に行きました。結果は…やっぱり細かいところがわかってなかった!何回観ても、聞き取れてないところは聞き取れてなかったみたい 笑。観に行って良かった。ほんとに何回も観た映画だったので、次のシーンとか、セリフとか覚えてるくらいだったので、映画の内容と言うより、じっくり字幕を読んでいたのですが、字幕って結構はしょってあるんですね。こんなにはしょってるとは思わず、ちょっとびっくりしました。これで観てる人は意味がわかるんだろうか??と思いつつ…。はしょっているのに、次の瞬間そのはしょった内容が字幕に出て来たりしてたので。。まぁ、大事な場面じゃないからいいのかもしれないけど。そして、意外だったのが、劇場に観に来てる人達が、やたら笑ってたこと。たぶん、その前の2つが笑いどころの多い映画だったからか、笑うクセがついちゃったのかもしれないけど、そこ笑うところか!?ってとこでみんな笑っててびっくりしました 笑。映画の中では女の人が泣いてるのに 笑。いやー、何回も観た映画でもいろいろ発見があるものですね。

…ふぅ。以上、感想でした☆

さて、それでは今年の私のベスト5!
■はじめての大切なもの"La prima cosa bella"
■ラ・パッショーネ"La passione"
■初任地にて"Il primo incarico"
■星の子供たち"Figli delle stelle"
■アルデンテな男たち"Mine vaganti"

来年も楽しみです^^

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