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2009-05-11

イタリア映画祭2009

今年も帰国した次の日から行ってきました、イタリア映画祭!夢の延長のような感じで気づけば終わってしまっていて、、あぁ…寂しい。。今年からパスポート券がなくなってしまい、一枚ずつチケットを買わなくてはいけなくなってしまったので、最初は全部観るつもりはなかったのですが、、行けなくなった友達からチケットを譲ってもらったり、自分の大好きな俳優さんの舞台挨拶があることを知って急遽行くこことにしたり…で結局ほとんど観ることになってしまい、それならいっそのこと全部観よう(笑)!…ということで、前売り券を買っていなかった分は当日券をgetし、12作品全部、観てきました!今年で全作品制覇4年目です^^☆

今年、前売り券が売り切れてしまったのは、「イル・ディーボ」と「ゴモラ」、「見わたす限り人生」、「ジョヴァンナのパパ」の4本。そのうちの「ゴモラ」と「ジョヴァンナの…」は一度だけの上映だったのもあると思いますが、特に「ゴモラ」はイタリアでも有名な映画で、原作はイタリアで爆発的にヒット、日本語にも去年翻訳されています。

…というわけで、前売り券が買えなかった人は当日券を買うために朝から並んだようです。私の友達は「ゴモラ」の当日券を買うために、8:30に会場に行って並んだのにもかかわらず、当日券は売り切れ。当日券の売り出しは9:30からだというのに、、^^; と、まぁ、それほどの人気だったのです。でも「ゴモラ」はナポリのカモッラ(シチリアでいうマフィア)の話。それをみんな観たいんだ〜…と不思議な気持ちになりました。でも話題の作品だからね。。観たい気持ちもわかるけど。。(私も観たしね^^;)

今年の映画はいい映画が多かった!当り年だと思います^^☆ではでは、全作品について一言ずつ感想を。

■よせよせジョニー "Lascia perdere, Johnny!"
けだるい空気が漂う映画。でも嫌いじゃない。いや、むしろ好きかも。音楽をやっていきたいぼーっとした男の子が主人公。ぼーっとしてるんだけど、音楽で生きていきたいっていうひたむきな想いを持っていて観ていてなんだか励まされる映画です。でも映画自体はすごくけだるいです 笑

■ソネタウラ "樹の音"の物語 "Sonetàula"
これが一番キツかった。2時間40分の長編であることを知らずに観ていたので、その長さもキツかったし、内容も重くて。。どうしてそうなっちゃうかなぁ。。とため息の出る映画でした。。

■見わたすかぎり人生 "Tutta la vita davanti"
これは、イタリアにいる時に語学学校の先生にも勧められた映画。しかし。。今の私にはとってもこたえる内容。非正規雇用の現実を喜劇タッチで描いたものなのですが、その喜劇具合が半端ない。こんなのあり得ないでしょう、っていう展開が次々と。。それでも今の世の中を如実に反映した映画の内容には心が痛み、、笑っていいのか泣いていいのか。。複雑でした。

■私を撮って "Riprendimi"
これは低予算で作られた女性の監督によるインディーズ映画。これがなかなか良かった^^この映画、なんと監督の自宅で撮られたもの。映画の中でドキュメンタリー映画を撮るっていう設定なのですが、これもまた今の時代を反映し、不安定な雇用に関するテーマ。でも女性ならではの視点、男性の描き方など、なかなか面白くてついつい引き込まれて観てしまいました。オススメです☆

■イル・ディーボ "Il divo"
イタリアでは有名な映画。7期に渡って首相を勤めたジュリオ・アンドレオッティを通してイタリアの政界の裏側を描いた作品。観ている時はこれの何が面白いんだ??…と思っていたのですが、というのも、イタリアの政治家の名前や出来事の基礎知識が私になかったために、全てを理解できなかったので。。自分の勉強不足なのですが。。でも見終わってしばらく経ってみると、やっぱり面白かったのかも、と思えてきました。映像、音楽の使い方は本当に見事だったし、このジュリオ・アンドレオッティという人の描写もすごかった。。なにより、主演の俳優さん(トニ・セルヴィッロ)の演技は天才的としか言えないかも。

■赤い肌の大地 "La terra degli uomini rossi"
これは私の大好きな俳優さん、クラウディオ・サンタマリアが出演している、という理由だけで観た映画だったのですが、、これもまた予想外に良かったです。ブラジルの先住民と入植者の話。実話です。ブラジルが舞台なので、ロケ地もイタリアではないし、映画の中でも一切イタリア語は出てこないし、監督もチリ出身のマルコ・ベキスで、イタリア映画祭では異色の映画だったので、お客さんもあまり入っていなかったようですが、良い映画でした。先住民の人たちの自然を愛する気持ち、そして外の世界(入植者たちの世界)に出れないことにジレンマを持って自殺してしまう若い人たち、、入植者達のお金を払ったら自分のモノだ、という奢り高ぶった考え方。考えさせられる映画でした。

■パ・ラ・ダ "Pa-Ra-Da"
良い映画でした。これもまた舞台はイタリアではなく、ルーマニアのブカレスト。ストリートチルドレンたちを救いたいという一心でなんとか子供達とふれあい、希望を持たせていこうとする一人の外国人との話。これも実話を元にした映画。感動しました。でも今も減らないストリートチルドレン。この現実に心が痛みます。

■プッチーニと娘 "Puccini e la fanciulla"
セリフは手紙を読む声だけ、という映画。その分、映像の美しさと自然の音の美しさが際立つ、素晴らしい映画でした。映像の方は、プッチーニと同時代に生きたトスカーナ地方の印象派画家のグループ、Macchiaioliが描いた絵をもとに映像を作り込んでいったそうで、本当に美しかった。。そして音響は、2007年の映画祭で上映された「ミルコの光 "Rosso come il cielo"」の主人公、ミルコ・メンカッチが担当。プッチーニが作曲のインスピレーションを自然がおりなす美しい音から受けていたことを表現したかった、という監督。舞台となる湖のすぐ近くに高速道路があり、その騒音に悩まされていたのですが、ミルコ・メンカッチがその騒音だけを消す、という技術を編み出し、昔のままの自然の音を録音することができたそうです。そしてところどころ流れるプッチーニのピアノの音もまた美しかった。。話の内容も興味深いものでした。実はイタリアにいる時に、プッチーニの生涯をドラマ化したものを見たのですが、そのドラマとこの映画では違う解釈だったので不思議に思いましたが、この映画を作るために長い間かけて調査したことで、新事実が発覚したのだそう。その新事実を基にこの映画は撮られています。とにかくこの映画は、美しい、の一言に尽きます。

■やればできるさ "Si può fare"
これは今回一番のオススメの映画!今回は実話を基に作られた映画が目立ちますが、これもそう。精神病の患者達と一緒に事業を立ち上げようとする一人の労働組合員の話。重いテーマなのですが、重くなりすぎず、ユーモアも満載で、でも考えさせられて、感動して、文句なしの映画。

■運命に逆らったシチリアの少女 "La siciliana ribelle"
これも実話ベースの映画。シチリアのマフィアの家庭に生まれながらもマフィアを告発し、孤立する一人の女性の話。壮絶な人生に胸が締め付けられる思いがする映画です。

■ゴモラ "Gomorra"
ナポリのCamorraの話。この映画の題名、Gomorraは旧約聖書の中で悪徳の為に神に滅ぼされた街の名前。つまり、ここではナポリのことです。原作は同名の小説。著者はCamorraに潜入取材をし、この本を書き上げましたが、この本のせいで彼は今Camorraに追われているそうです。これは逆を返せば、この本の内容が事実である、ということ。この映画の中のことが事実なのだとしたら、、本当に恐ろしいことです。映画は5つのエピソードが平行して語られています。どれも目を背けたくなるような現実ですが、中でも、子供達が小さなころからCamorraの一員であることを認識して生きていることに驚愕しました。イタリアの闇の部分を知っておくためにも、やはりこの映画は観ておかなければいけないのかもしれません。

■ジョヴァンナのパパ "Il papà di Giovanna"
これは2010年に公開予定の映画。個人的には、、この映画あまり好きではありません。父親の娘に対する盲目的な愛が、現実から目を背けさせ、全てを壊してしまう。でもその愛ゆえに、救われる部分もあるのですが、なんだかこの盲目的な愛が、見ていると痛々しくて、そして何も生み出さないような気がしてきて、一種の虚しさというか、やるせなさというか、どこかファンタジーで、現実味のない、奇妙な感覚を引き起こすのです。第二次世界大戦の描写もあるのですが、この映画には直接的には関係していないように思えます。愛ってなんなんだろう、と考えさせられる映画です。

以上、ひとことじゃなくなっちゃってますが…感想でした^^;

私の今年のベスト3は…
☆私を撮って "Riprendimi"
☆プッチーニと娘 "Puccini e la fanciulla"
☆やればできるさ "Si può fare"

現実を知る上で観ておいた方がいい映画ベスト3は…
☆赤い肌の大地 "La terra degli uomini rossi"
☆パ・ラ・ダ "Pa-Ra-Da"
☆ゴモラ "Gomorra"

…という感じでしょうか。。あくまでも私個人のベスト3ですが、機会があれば観てみてくださいねー^^☆今年も映画祭満喫したー!来年も楽しみです^^♪

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コメント

mioさん、

ずいぶん前にコメントしたことのある、rossoneraです。
覚えてらっしゃるかしら?

イタリア映画が好き、と言いながら、
実は今回初めてイタリア映画祭に行ってみました。
GWでも、カレンダーどおりの仕事なので、見たかったものが見れなくて残念でした。

私もriprendimi見ました。
タイトルだけで決めたので、どうかな、と不安でしたが。
とても面白かったです。
非正規雇用の話に、恋愛とか日常の出来事を絡ませて、笑ったり、泣いたり。
映画でドキュメンタリーを撮影をしていた男性の1人が、ローマ弁。
ローマ弁喋ってるからといって、撮影してるところがローマ、とは限らないけど…。
と思いながら、街の風景がものすごく気になって。
でも、撮影場所はローマだったので、それもうれしかった(私はローマに語学留学したので)。

Gomorraって、mioさんのコメントを読みながら気がついたのですが。
著者は30代の男の人ですか?
あの人が書いた本がヒットして、マフィアから狙われている、などイタリアのテレビで話題になってたなぁ、と今頃思い出してしまいました。
あの人の原作が映画になったのですね。
本、読んでみようかな、と思いました。

イタリア映画祭、多くの方がいらっしゃっていたのですね。
チケット売り切れとかあったのは、正直意外でした。
会場も大きい所では、なかったですが。
ご年配の方が多いのは、やはり往年のファンが多い、というところなのでしょうか。
Dolce vita、留学してた時、授業で見ました

怠惰な雰囲気で終わるのかと思いきや、ラストシーンで、やられた、という感じです。
人生って、何?と問いかけられた気分でした。

アメリカ映画も面白いですが、イタリア映画は日本人の感性により近いのかな、と思ってます。
心の繊細な揺れを感じる映画が好きで、イタリア映画って、地味だけど良いな、と思います。

今回見れなかった作品も、mioさんのコメントを読んで、機会を見つけて見てみたいな、と思いました。

イタリア留学はいかがでした?
イタリアで写真の勉強するのは、また違った雰囲気なのですか?
素敵な経験をされたようで、良かったですね。

それでは、また。

投稿: rossonera | 2009-05-12 22:18

rossoneraさん、こんにちは^^!!!もちろん、覚えています!お久しぶりです☆また見に来てコメントして下さってありがとうございます!嬉しいです!

イタリア映画祭デビューおめでとうございます☆一度行ったらやみつき…ですよね^^?

お仕事でお忙しい中、"Riprendimi"をご覧になられたんですね!ナイスチョイス♪私も正直、ここまで面白いとは予想していなかったのですが、引き込まれるように観てしまいました。私は女性の方にかなり感情移入して観ていましたが、これも男性が観たらまた違う感想を持つんだろうなぁ。ローマの風景、いいですよね。ローマ弁も好きです^^でも私には難しいですけど 笑

Gomorraの著者はそうです、まだ30歳になったかなってないかくらいの若い人です。本は私は読んでいないのですが、興味はあります。映画の方も機会があれば是非観てみてくださいね。

そうですね〜、年齢層はかなり高めですね。もっと若い人にもイタリア映画の良さをわかってもらいたいのに!!!(…って関係者でもなんでもないんですけど^^;) Dolce vita 私も好きです。最初の留学に行く前にイタリア映画を観てみよう、と思い立っていくつか借りてきたうちのひとつでした。その当時はイタリアの映画は数えるほどしか知らなくて、でもだんだんその魅力にはまっていってしまったんですよね。。それまでは特に映画好きというわけではなかったんですよ。rossoneraさんのおっしゃる通り、イタリア映画はとっても人間や人の心の描写を大事にしているように思います。楽しい、面白いだけじゃなく、心の奥まで伝わって来る何か、がありますよね。

イタリア映画に少しでも興味を持ってもらいたい、という気持ちもあって、ブログに感想を書いたので、これで興味を持っていただけたなんて、本当に嬉しい限りです^^ 嬉しいコメント、ありがとうございます。

イタリアでの写真の勉強は、本当に驚きや発見の連続でした。教え方や、考え方、写真の見方など日本でのそれとは違って、いろいろと勉強になりました。この経験は宝物です。これからに活かしていきたいと思っています。

それでは、また!ぐうたらブログですが、また遊びに来てくださいね^^

投稿: mio→rossoneraさん | 2009-05-14 02:34

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