イタリア映画祭2008
今年も行ってきました!映画祭自体は明日までなんですが、とりあえず全上映作品を見終えたので、今日が私の映画祭最終日でした。今年は全部で12作品。これまでと比べるとちょっと減ってしまいました(去年は15〜16作品)。。短編映画もたったの4つでした。今年は全席指定になったこともあって、会場についてもいつもの熱気がない!!!さ、、、寂しい。。整理券もらって入場順に毎回並ぶのは、そりゃぁ大変だけど、こんなにも落ち着いちゃっていいの??今年は初日以外は天気もイマイチだったこともあるのか、ほんとにしっとりした映画祭になっていました。
さてさて今年の映画達ですが、はっきり言って「重い」です。イタリアの今を反映しているのか、ほぼ全てが重くて深かった。でも重いながらも良い映画がたくさんありました。ただ、こういう映画を一日に4本観るのは本当に辛い。。肉体的にも疲れますが(笑)、精神的にかなり消耗しました。12本のうち、そこまで「どーーーん」とならずに観れたのは、「いつか翔べるように"Lezioni di volo"」、「考えてもムダさ"Non pensarci"」、"8 1/2"の3本くらいでした。
ではでは、一言ずつ感想を。あくまでも私見です^-^
■潮風に吹かれて"L'aria salata"
刑務所勤務の息子と、その父親の話です。イタリア映画って、感情を前面に出した表現が多い気がするんですね。例えば、言い争いのシーンなどがよくでてきたりとか(そういうシーンでは必ずみんなが大声を出すんです。。これ映画館で大音量でずっと聞いてるとけっこううんざりしてきます。。)。この映画はそういうことがほとんどない。すごく感情を抑えているし、表現も、ものすごく無駄がそぎ落とされています。それなのにかえってたくさんのことが伝わってきます。胸をつかまれるような感情がわいてくる作品です。これは本当にいい映画でした。
■いつか翔べるように"Lezioni di volo"
これはロケ地のインドをドキュメンタリーのように映しているところがすごく気に入った作品です。女性の監督の作品で、来日していましたが、ものすごくよく喋る人でした。伝えたい事がたくさんあるんでしょうね。。この映画もそうで、様々なテーマがたくさん盛り込まれたものでした。
■百本の釘"Centochiodi"
私はいまいちテーマがつかめなかった作品。テンポも良いし、観ていてあきる、ということはないんですけどね。。
■ひばり農園"La masseria delle allodole"
これは衝撃の映画でした。トルコで起こったアルメニア人虐殺の話なのですが、これは本当にキツかった。頭だけで考えていてもわからないところまで映像化されていて、見ていて本当に苦しかった。観客の中から嗚咽が聞こえてきたくらいです。でもこういう現実を知る、伝える、ということはとても大切なことだと思います。
■対角に土星"Saturuno contro"
Ferzan Ozpetek監督の作品です。これは今までの彼の作品に比べるとちょっと弱かったなぁ、と思ってしまいました。今までのが良すぎるのであって、この映画もいい映画だったんですけどね。
■考えてもムダさ"Non pensarci"
これは最高です☆絶対にオススメです。「イタリア的恋愛マニュアル」みたいな完全な喜劇、ってわけではないのですが、笑えるところもたくさんあって、その笑いは、ドンピシャ受け狙い、って感じではなくて、もっともっと体の中から笑えます。この監督さんの作品は要チェックだなぁ。。映像のセンスも半端ないです。この映画を撮った監督さんと主演の俳優さんが来日していたのですが、監督さんは飄々としていて、俳優さんの方は、めちゃくちゃsimpaticoで、面白い人でした!今回来日した方々は彼らを除いて真面目な人が多かったので、特に目立ってました(笑)。
■湖のほとりで"La ragazza del lago"
殺人事件が起こって、それを刑事が捜査していく話。こういう映画、好きなはずなのに、これはちょっと重すぎる。。映画全体を流れる雰囲気が重い。。ノルウェーの小説が原作だそうです。
■日々と雲行き"Giorni e nuvole"
これは留学していた時にFirenzeで観ようとしたら、「昨日で終ったよ」と言われ、Romaで観ようとして映画館で着席していたというのに、なんと映写機が壊れて(そんなことってあるんですね!!!)結局観れなかった映画。3度めの正直、やっと観れました。映画としては良かった。と思う。裕福な家庭だったのに、ある日夫が突然、仕事を失って…っていう話。こういうのって、たぶんイタリアでは(日本でも?)ものすごく現実味のある話なんだと思います。だけどこの主演の2人があんまり好きじゃなくて…残念。。
■まなざしの長さをはかって"La giusta distanza"
重いけど、良かった。これの元の題名は直訳すると、"適正な距離"という感じになるはずなのですが、この邦題は一体。。これではあんまり意味がわからない。。"適正な距離"にした方が映画の内容とはしっくりきます。異なる国の人との恋愛で生まれる距離、事件と新聞記者の距離、思い込みや偏見が作り出す距離、など様々な距離がこの映画の中で扱われています。
■副王家の血筋"I vicere'"
シチリアのスペイン副王の一家を描いた歴史もの。これは予想外に面白かったです。現代ものもいいのですが、こういう昔のイタリアの話って結構好きなんですよね。。いろいろと勉強にもなります。
■カラヴァッジョ"Caravaggio"
当初2008年冬に劇場公開されるはずだったのですが、なんと2010年まで公開が伸びてしまいました。すごく面白かったです。題材がカラヴァッジョなだけに、どろどろした部分もありますが、これはもう一度観たい作品です。公開されたら見に行こうかな。。
■"8 1/2"
フェリーニの傑作。初めて観ました!すごくきれいなモノクロの映像。やっぱり天才なんだなぁ、と改めて思いました。摩訶不思議な映画でしたが、私は映像に魅了されました。
【短編】
■たまご"Uova"
そういうことか、と最後に笑える作品。状況は笑えないんですけどね。でも社会から身を守る術を子供は本能的に知っているんだな、と思いました。
■昨日"Ieri"
これはちょっと難しくてわかりにくかった。。政治的な見解が分かれてしまった若いカップルの話。
■ヨーロッパ2005年、10月27日"Europa 2005, 27 Ottobre"
これは一度目に留学していた時に、フランスで暴動が起きた事件に関連していました。パンフレットを読んで初めてわかったのですが。2005年秋、パリ郊外で警察に追いかけられたふたりの若者が変電所に逃げ込み感電死し、それ以降、パリ近郊では暴動事件が相次いでいました(留学中もそのニュースは新聞やテレビでよくやっていました)。この短編映画はその変電所を撮影したものです。
■代理教師"Il suppiente"
これはユーモラスだけど、深い。引き込まれるように観てしまいました。
一言のつもりが、長々と書いてしまいました^_^; スミマセン。。さて今年のお気に入りを3本挙げるなら、 「潮風に吹かれて"L'aria salata"」、「考えてもムダさ"Non pensarci"」、「カラヴァッジョ "Caravaggio"」かな〜。今年は数は減ってしまいましたが、本当にどれも良い映画ばかりでした。願わくばイタリアの情勢が良くなって、もうちょっと希望が持てる映画が増えてくれるといいですね。
今年の映画祭、もう終ってしまうなんて寂しいです。。あっという間だったなぁ〜。。来年はどんな映画が来てくれるのかな?? 今からもう楽しみです♪ Al prossimo anno!!!
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