偶然の出会い
今回、イタリアで知り合った人たちが、次々と自分の国へ帰っていきます。そういう時期のようです。日本人のように、1年など長期滞在する人は少ないので、どんなに長くても3ヶ月か半年くらい。10代の人たちも結構いて(日本人は少ないですが)、その中の何人かは、そのまま大学へ通って4年、5年とイタリアに住みます。その期間が終れば、また自分の国へ帰っていきます。
自分の周りの環境、というのは、そうそう変わるものではなく、そこで出会った友達というのもごくごく自然な感じがするし、何か関係があって出会うわけで(たいていは)、そういう関係というのは、ある意味必然を感じます。共通項がたくさんあって、長くつきあっていける関係。でも留学で出会う人達というのは、それとはまた違って、その国(私ならイタリア)を通して、たまたま同じ時期に同じ学校に通っていた、というだけ。だから歳も違えば、考え方も、育った環境、文化も違う。趣味だって共通なわけじゃないし、職種が同じわけでもなく、勉強していることや、してきたことも違います。自分とは全然違う人達に出会う。それがとっても面白い。ほとんどの人とは一期一会、つまり、そこで出会って、一緒に勉強して、いろんな話をして、それでそれぞれが自分の国へ帰って行く。もちろん、連絡を取り合う人もいますが、そうじゃない人ともたくさん、出会っているんです。一期一会だとしても、その出会いは、自分という人間をやわらかくしてくれ、いろんなことを学ばせてくれます。いろんな考え方や価値観にふれていると、こうでなきゃだめなんだ、とか、自分はこうあるべきなんだ、とか、この考え方は間違っている、とか、これが常識なんだ、とか、そういう発想がなくなります。あぁ、これもありなんだ、とか、自分もこうしてみればいいかもしれない、とか、こっちの方がおもしろいかも、とか、そんな考え方になります。自分の中の、固くなっている部分が、ほぐされていく感じです。人や物事に対して、許容範囲が広くなるし、自分を自分で縛るようなこともなくなるので、本当に自由になれる感じです。
考えてみれば、人は、出会いを自分で選んでいるところがあります。共通の趣味の仲間、同じ学校の友達、同じ職場の人達など。確かに同じ、もしくは似たような考え方を持つ人と一緒にいるのは、とっても楽しいです。そういう人達とは長い付き合いになっていくだろうし、もちろん大切にしたい。でも、たまには自分で選ばない出会い、つまり全くの偶然の出会いも人生には必要かもしれません。それは、留学ではもちろんのこと、旅をすることで、経験できます。そしてその出会いは、自分の目を大きく開かせてくれるような気がします。自分が今までこれが正しい、と思っていたことが覆されるかもしれません。もしくは、これはおかしいのかも、と思っていたことが全く普通のことだったりするかもしれません。大切なことは、留学や旅をしている間、バリアをはらないことです。どこに行っても、自分の国の生活と同じようにしようとする人達は必ずいますし、自分の国の価値観のまま生きようとするあまり、外国にいながらも自分の国の人とずっと一緒にいる人達もいます。それがおかしいのはすぐにわかると思いますが、個人レベルでも、自分の考えを決して曲げない、という人は結構います。それも同じことです。…というよりもったいない、と思います。せっかくの出会いも、意味がなくなってしまう。人の考え方を理解しようとしたり、興味を持とうとすることは、本当に大切なことだと思います。私もまだまだです。これからも心を全開にして、旅をしたい、と思っています。
こうやってイタリアで出会った人達が、また自分の国へ帰っていくんだなぁ、と思うと、いろんなことを考えてしまいました。
偶然の出会いもまた、必然なのかもしれません。世の中に意味のないことなんて、何一つないような気がします。全ての出会いに感謝。
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